障がい者支援とは|パラリンアートさんとのコラボレーション

唐突ですが、私はクロネコヤマトの生みの親「小倉昌男」氏を尊敬していまして、平安堂の物流もずっとヤマト運輸に託しています。
(今では小倉家とヤマト運輸の関係は薄いようですが)
小倉氏のことを日頃から研究したりしている訳ではありませんが、規制緩和との戦い、理不尽な要求への毅然とした対応など、経営者として学ぶべきところが多々ありますし、その結果として、かなり高品質の物流網を一代で築き上げたという凄みもあります。

経営者としての小倉氏に加え、私が感嘆した部分は、タイトルにある「障がい者支援」の部分です。
障がい者の方への支援は色々な形があると思いますが、小倉氏の出した答えは「働く場を作り出す」というものでした。
ヤマト運輸を大企業に育てた方ですので、お金は猛烈にお持ちだったと思いますが、そのお金を寄付するのではなく、「働ける場」(スワンベーカリーというパンの製造販売会社)をつくり、「永続的な支援」と共に「働く意義」であったり「働く対価としてお金をもらう」という仕組みを作り出しました。
さすが名経営者と感じた訳でございます。

今回は、平安堂が始めた、小さな小さな障がい者支援をお話したいと思います。

Yuki作「和柄」

  • 1.障がい者支援とは
  • 2.パラリンアート(Paralym Art)さん
  • 3.パラリンアートさんとのコラボレーション
  • 4.実際の作品
  • 5.最後に
  • 障がい者支援とは

    障がい者への支援は、多くの方が大事なことと考えながら、現実的には多くのことが出来ていないという感想ではないでしょうか。
    少なくとも私はそうでして、気持ちはあれど、ノーアクションに近い状態でした。
    少しだけ皆さまより身近に感じることがあるとすれば、あるいは、障がい者支援を考えたきっかけとしては、弊社の製造委託先のいくつかの工房や工場が障がい者の方を雇用していたことです。
    どのような雇用形態であったかまでは知りませんが、みなさん、きちんとした仕事をされ、なんの問題もなく、弊社の漆器を作ったり、化粧箱を作ったりしてくれていました。
    その経営者の方々が、どのような意思で雇用をされていたかは知りませんが、見習はなくてはと感じましたし、そういう意味で身近ではありました。

    寄付をする・働く場を作る。
    このような形が広く認知されてる支援ではないでしょうか。

    パラリンアート(Paralym Art)

    パラリンアート(Paralym Art)さんの正式名称と言いますか運営母体は「一般社団法人 障がい者自立推進機構」という会社となり、パラリンアートのメッセージは、
    「障がい者アーティストとひとつのチームになり、社会保障費に依存せず、民間企業・個人の継続協力で障がい者⽀援を継続できる社会貢献型事業を⾏います」
    というものです。
    (パラリンアートさんのHPはこちら

    パラリンアートさんとの出会いは、紹介などではなく、先方からの1通の営業メールでした。
    立場上、膨大な営業メールが届くので、残念ながら大半のメールには目を通しませんが、パラリンアートという聞き慣れませんが、障がい者さんとアートを連想させる社名に関心を覚え、メールに目を通したことを覚えています。

    目を通してみますと、「障がい者の方が描いたアート作品をマネタイズすることにより、自立支援を行う」というような内容でして、先に書かせて頂いた「直接的な寄付」「働く場を作る」という私の認識にない、新しいカタチの提案でありました。

    倉持智行(TOM)氏作「THIS IS JAPAN」

    パラリンアートさんとのコラボレーション

    パラリンアートさんに関心が出ましたので、さっそく連絡をとりミーティングを行いました。
    コロナ禍ということで、オンラインでの顔合わせではありましたが、お話を聞くにつれ、一緒に取り組みたいと確信した次第です。
    ビジネスにする、マネタイズする、と書くと、障がい者のハンディキャップをビジネスにするようで嫌らしく感じる方もいらっしゃるのではないかなと危惧しますが、
    「障がい者の方の才能(今回で言えばアートという才能)が正しく評価され、仕事になる」
    というプラットフォームは素晴らしいものだと私は感じました。

    また、今までのパラリンアートさんの取り組みは、企業がアート作品を「買い取る」や、そのデザインを利用した「PR活動」を行うという一過性のものがメインと伺ったのですが、平安堂の場合ですと、もう一つ付加価値を加えたビジネスモデルが出来るのではないかなとも考えました。

    別に、それほど画期的な話ではありませんが、具体的には、アート作品を買い取るのではなく、利用権を設定して貰い、弊社の商品のデザインに採用する。
    そして、それが売れていくごとに利用料が支払われていくという仕組みです。
    「アート作品を買い取る」
    でも良いのですが、その作品の価値はもっとあるのかもしれません。
    一般の商品と同じように店頭に並び、お客様がお選び頂くプロセスの中で、しっかりと選ばれて売れていけば、その作品の価値は無限大です。

    「永続性」や「価値の極大化」が図れる仕組みかなと考え、この仕組をご提案させて頂いた次第です。

    実際の作品

    新しい取り組みということで了承を頂けるか不安でしたが、快く了解を頂け具体的な商品作りに入りました。
    とはいえ、もともと漆器に描くことを前提にして描かれる訳ではありませんので、膨大な作品の中から、「何を選ぶか」や、どうやって「極力忠実に漆器に描くか」など、いざ制作となると想定より大変ではありました。
    まあ、大変な面もありましたが、社会的意義もあり、新しい取り組みということで、それほど大変さを感じずに、まずは2作品を、小箱と写真立てというキャンパスに描きました。
    完成したものがこちらです。



    如何でしょうか?
    原画の良さを表現出来ていますでしょうか?

    最後に

    すでに店頭やHPにも並んでいまして、多くの方にご購入を頂いております。
    現時点では、パラリンアートさんとのコラボレーションの作品であり、お客様のご購入が障がい者支援に繋がることを明記しております。

    1つは、ご購入される方に正しく伝えたい。
    1つは、明記した方が売れる可能性が高くなり、結果として良いのではないか。
    1つは、平安堂は基本的に自社デザインでモノづくりをしているので他の方のデザインであればそれを明記する。
    というような理由によります。

    このようなことを明記しない方が良いのかもしれませんし、明記しない時代が来るかもしれませんが、現時点ではこのように判断した次第です。

    いずれにしましても、弊社の取り組みは微々たるものではありますし、基本的には自社デザインでモノづくりをする会社であり続けることが大事と考えていますので、上手く行っても規模には限界がございます。
    ただ、小さな積み重ねが大きな結果に繋がると信じて経営していますので、今回のパラリンアートさんとの取り組みも、そのような結果に繋がれば良いなと思い、この記事を書かせて頂きました。

    《パラリンアートさんのHPはこちら
    《作品の販売ページはこちら

    ABOUTこの記事をかいた人

    漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!