遊び心2|夏の「遊び心」シリーズ

「遊び心」のある品は大事!
という私の気持ちと共に、前回、最も「遊び心」に溢れた平安堂の品物をご紹介させて頂きました。
(前回の遊び心「座興盃」の記事はこちら


(こちらが前回ご紹介の座興盃)

今回は、その続編。
「夏の遊び心」溢れる品々をご紹介したいと思います。

  • 漆器屋の夏
  • すいかのお皿
  • 夏の小箱
  • 漆器屋の夏

    漆器を販売する側から見ますと、夏は辛い時期にあたります。
    小売業は「ニッパチが底」と言われていますが、これは2月と8月が最も店頭が閑散としている時期とされています。
    暑さやバカンスで購買意欲が低下してしまうことは頷けます。

    これに加え、贈答シーンでも、暑い時期ですと、清涼感あるガラス器や白磁の器などの方が選ばれることが多くなりますし、法人のパーティー、結婚式なども真夏は避けられがちです。。

    漆器を販売するには二重苦三重苦のシーズンでして、基本的に漆器屋さんは暇をしてしまいます。
    もしくは、少し商材が近い「竹製品」の取り扱いをしたりしながら、漆器の人気が回復する秋冬を待っていたりしています。

    ただ、暇をしていても勿体ないですし、竹製品を扱うことをまったく否定しませんし、弊社でも時々竹製品のイベントをやったりもしていますが、竹製品を販売していては大切な漆職人さん達に仕事を回すことが出来ません。
    「漆器を販売する」=「職人さんに仕事を作る」ですので、夏だからということで諦めていたらいけません。
    漆器屋としての努力放棄です。


    (白漆のサラダボウル/夏の期間限定販売)

    そんな背景もありまして、平安堂では「夏の器」として色々な漆器を塗り上げています。
    白漆と呼ばれるベージュ色の漆器のラインナップはとても好評頂いておりますし、夏らしい金魚の絵柄などもお喜び頂けているようです。
    そして「夏の遊び心シリーズ」と呼ばれるいくつかのヒット商品が生まれました。

    すいかのお皿

    漆器の代表カラーは赤と黒。
    もちろん、他の色も作れますが、やはり主流、主役は赤と黒です。
    ですので、私は常々、赤と黒で表現できるものを考えていますし、そのような流れで商品化されたデザインも多いです。

    そのような中「夏を感じさせる赤いものって何だろう??」と考えている中で閃いたものが、この「すいかのお皿」
    たぶん、トマトなども頭に浮かんだと思いますが、もう時間が経ってしまったので他のアイデアは忘れてしまいましたが。。

    さっそくイラストに落とし込んでみたところ、まさに「遊び心溢れる」感じになりまして、個人的にはど真ん中のストライク!
    意気揚々と営業会議で披露したところ、今度は非難轟々、誰にも共感して貰えず焦った記憶が蘇ります。

    「こんなの売れるはずがない」
    「もっと安くならないと売れない」
    「せめて1絵柄にとどめてくれ」
    ・・・・

    最後は社長権限で商品化してしまいましたが、スタート時点での評価は「社長の気まぐれ商品」みたいな位置づけでした。。

    まあしかし、共感してくれるお客様も意外と大勢いらっしゃってくれまして。
    嬉しい限りです。
    すでに販売を開始して4〜5年くらい経過しましたが、今では「平安堂の夏」を彩るメイン的位置づけになりました。

    我社の業績を左右するようなロットではございませんが、この品物を見て笑顔になるお客さまがとても多くて。
    これが非常に嬉しいですね。
    漆器で笑顔にするの、なかなか難しいですから。

    夏の小箱

    こちらは、商品化され10年くらいは経ち、平安堂的には夏の定番というイメージの品です。
    前述の「すいかのお皿」とはうって変わり、こちらは企画の段階から満場一致で商品化が望まれ、そして、結果も伴った品となります。

    すいか皿ほど意表を突く品物ではありませんが、テーマとなった「花火」や「ほたる」は、夏の風物詩の一つであり、また、皆様に愛されているモチーフでありながら、あまり漆器で表現のされてこなかったデザインかなと思います。

    黒のキャンパスを真夏の夜空に見立て、漆器らしく鮮やかな金彩、銀彩で描く花火。
    清々しい森林や草木を緑で表現し、儚くも華やかなホタルの光を金彩で描く。

    どちらも意図したイメージ通りに仕上がったかなと思っています。

    わがままを通して商品化した「すいかのお皿」
    満場一致で商品化した「夏の小箱」

    夏の遊び心として、2つの品物をご紹介させて頂きました。
    「多数決では良いものが生まれない」
    「満場一致で良いものが生まれた」

    たまたま相反する経緯の品というのも、とても面白いですね。
    記事を書いてみて、過去を振り返ってみて、初めて気がついたことでもありました。

    「正解は一つではない」
    これが正解でしょうか?笑

    「遊び心シリーズ」は、私の大好きな商品開発の1つですので、また、続きも書いていきたいと思います。

    記事で紹介しました品はこちらで詳細ご覧いただけます。
    すいか皿
    夏の小箱
    白漆のサラダボウル
    座興盃

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    ABOUTこの記事をかいた人

    漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!