日本生まれのカクテル|雪国、バンブー、キングス・バレイ

マティーニ、サイドカー、ギムレット・・・
無限のようにあるカクテルですが、その中には、日本で生まれたカクテルも数多くあります。
そして、それが国内だけではなく、海外でも親しまれていますので嬉しい限りですよね。


(私の好きなパッションフルーツのカクテル)

今回は、そんな「日本生まれ」のカクテルを3種類ほどご紹介したいと思います。

 

 

 

キングス・バレイ

日本を代表するバーテンダー上田和男氏が考案したカクテル。


(レシピ通りやると緑色になりきらないみたいですね。少し配合をアレンジしたものが下の写真。こちらの方がキングス・バレイの趣きですね)

数々のカクテルを考案されていますが、今回は、その中でも有名な1つ「キングス・バレイ」をご紹介。
上田和男氏の逸話や伝説は数多くあり、一度特集記事を書きたいなと思っているくらいなのですが、今回は有名な逸話を1つ。
上田和男氏の経営するBARは「銀座 テンダー」
バーテンダーさんのことを、みなさん、うっかり「バーテン」と呼んだりしていませんか?
バーテンダーの省略がバーテンと思いがちですが、昔は、フーテン(ブラブラしている人、定職を持たない人、流れ者)の同義語的にバーテンと呼ばれていた時代があり、ちょっとバーテンダーさんを侮蔑しているニュアンスが含まれているんです。
上田氏は、「バーテンダー」から抜け落ちた「テンダー」の部分、「バーテンダーの誇り」を店舗名にされたと聞いています。
格好良い店舗名ですし、バーテンダーとしての矜持を感じますね。

そんな上田氏が世に送り出したカクテルの1つが「キングス・バレイ」
「第1回スコッチウイスキー・カクテルコンクール優勝」という輝かしいアワードのあるカクテルでもあります。

レシピは、スコッチウイスキー4、ホワイトキュラソー1、ライム1、ブルーキュラソー1tspをシェイク。
ショートカクテルのスタイルです。

英国の誇るスコッチウイスキー、雄大な緑から「キングス・バレイ」と命名されています。
緑色の原材料がないにも関わらず、緑色になるカクテルとしても有名です。

ウイスキーベースのカクテルは種類がそれほど多くなく、珍しさはあります。
ウイスキーの香りを残しつつ、ライムやホワイトキュラソーの爽やかさが加わり、飲み口はさっぱりしていて飲みやすい仕上がりです。

そんな上田氏のBAR「テンダー」の情報はこちらをご覧ください。
(公式HPが見当たりませんでしたのでBARナビにリンクしてあります)

 

雪国

こちらも伝説のバーテンダーさんである井山計一氏が考案したカクテル。


(こちらは六本木のBAR ケージュレップさんで撮影。ケージュレップさんの記事はこちらにもございます)

日本最高齢のバーテンダーさんでもあり、今なお現役と聞いています。
(1926年生まれということですので、執筆時点で94歳くらいのはずです。。)
山形県酒田市ということで、残念ながら私は行ったことありませんが。
この経歴に凄味しか感じません。
(2021年6月追記:井山計一氏は2021年5月にお亡くなりになりました。享年95歳。ご冥福をお祈りいたします)

レシピは
ウォッカ4、ホワイトキュラソー1、ライム1をシェイク。
グラニュー糖でスノースタイルに仕上げたグラスに入れ、ミントチェリーもしくは緑色のマラスキーノ・チェリーを1個入れるショートカクテルになります。

「雪国」の名の通り、グラスの縁の砂糖が雪をイメージしています。
カクテルそのものも寒色系となり、まさに冬のイメージです。
緑色のチェリーが特徴的で、これは、「冬の雪の下で春を力強く待つ緑」と言われていまして、山形県ならではの情緒あふれるカクテルですね。

なお、ご紹介しておきながらなんですが、HeiandoBarには緑色のチェリーがございません。
一般的なカクテルには、赤いチェリーを使いますので、緑色の方は置いておりませんでして。。
赤いチェリーで「雪国風」は作れますが、正式な「雪国」は作れませんことをご了承ください。
(このコラムを読み雪国をオーダーしてくださるお客様が増えてきましたので、緑色のチェリー(ミントチェリー)を購入しました。大感謝です!!ですので、現在は、正式レシピで提供しておりますが、本文は執筆当時のままにしております。2021年11月加筆)

日本最高齢の現役バーテンダーさんが考案したことや、厳しい寒さや豪雪との戦い、そして必ず訪れる新緑の季節。
そんな想いを馳せながら飲んでみてください。
グラニュー糖を使ったスノースタイルですので、少し甘みが強いカクテルではあります。

井山氏のBAR(HPには喫茶&BARという表記になっています)ケルンの情報はこちらをご覧ください。
(こちらも公式HPが見つかりませんでしたので食べログさんのリンクとなります)

 

バンブー

今回「日本人が考案したカクテル」ではなく「日本生まれのカクテル」としましたのは、こちらの「バンブー」を紹介したかったからでもあります。

こちらは、明治時代、横浜ニューグランドホテルのチーフバーテンダーを務めていたルイス・エッピンガー氏が考案したと言われています。
日本で生まれましたが、外国の方が考案し、竹という日本をイメージした「バンブー」と命名したストーリーのカクテルです。

レシピは
シェリー2、ドライベルモット1、オレンジビターズ1ダッシュをステア。
こちらもショートカクテルになります。

ドライベルモットを使っていますので、キリッとすっきりした、切れ味鋭い味わいです。
シェリー酒の鼻に抜ける感じとあいまって「最高の食前酒」とまで言われていまして、海外でも人気の高いカクテルの1つと聞いています。

現在も横浜ニューグランドホテルのBAR「シーガーディアンⅡ」では、伝統のカクテルとしてバンブーを推しています。
ご興味ございましたらご覧ください。

最後に

「お酒に歴史あり」ですが、キングス・バレイと雪国に関しましては、考案者が現役を続けていますので、運が良ければご本人が作ったカクテルを飲むことが出来るという「お酒好きにはたまらない」ことが可能なカクテルでもあります。
私も上田氏の「テンダー」には伺わせて頂いたことがあり、ご本人の作るキングス・バレイを飲むことが出来ました。
完成されたレシピですので、もちろん美味しいことは当たり前なのですが、やはりオーラを纏うと言いますか、味覚だけではない感動があります。

距離の問題はございますが、チャンスがあれば、オリジナルを試してみる、オリジナルを感じてみるという楽しみは如何でしょうか?

むろん、Heiando Barでも美味しくご提供させて頂きますので、興味が湧きましたら、一度、お試し下さい。
(雪国に関しては、緑色のチェリーがないことをご了承下さい)

(2021年6月追記:文中にご紹介しました井山計一氏は2021年5月におなくなりになられました。享年95歳。ご冥福をお祈りします。掲載記事に関しましては、掲載当時のままとさせて頂いておりますことご了承ください。)

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Heiando Bar ( He&Bar )
漆器山田平安堂が運営する六本木のオーセンティックBAR
港区六本木4-10-5-2F
六本木交差点より徒歩1分
03-6804-6388
お客様単価目安:2,500円〜3,500円くらい(2杯飲んで)
営業時間などの詳細はこちらをご覧ください。

ABOUTこの記事をかいた人

漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!