奇跡のコラボレーション(2)|世界販売へ(ショパール)

前回に続き「ショパール(Chopard)」に採用された蒔絵の文字盤。
「L.U.C XP URUSHI」に関しての第2章となります。
ぜひ、第1章もお読み下さい。

  • 1. 国内販売スタート
  • 2. 世界販売へ
  • 3. 各地でのイベント
  • 国内販売スタート


    第1章でご紹介をしました通り、無事に、そして異例とも言える「6絵柄」の投入となり、国内での販売がスタートとなりました。
    2009年秋のことですので、もう12年も前のことになります。

    新作の発表も、ショパールさんのご厚意により、弊社の代官山本店にて開催。
    ショパールさんのVIP顧客、プレス関係の方々が代官山本店にお越し頂けることになりますので、弊社のブランド認知度の高まりを考えれば大変に有り難いことです。


    (さすが世界ブランド。イベントでも手抜きせず、インパクトある造作物を作られます)

    蒔絵職人を呼び蒔絵の実演を交えながら、地味な漆器業界からは想像もつかない華やかな発表会が行われました。


    (蒔絵師の実演も行いました)

    その後、直営店のみならず、百貨店などでのイベント販売などを行い、1年が過ぎようとしていました。
    最初は売れていましたが、やはり企画の宿命でもあります。徐々に売れ行きも落ちてきており、なんとなく終焉が見えてきた頃でもありました。

    そんな矢先に大朗報が飛び込んできました。

    ショパールの世界中のリーダーが集まる大きな会議があるそうでして、そこでアジアの責任者の方が、この蒔絵に大変な関心を示してくれ、「日本限定販売は知っているがアジアでも販売したい」とオファーが出たとのこと。
    弊社にも許諾確認が来ましたが、迷う必要もなく、感謝の言葉とともにOKを伝えました。

    世界販売へ


    1年目の国内限定販売で始まり、2年目にはアジア展開となり、いま振り返れば、自分で書くのも憚れますが、サクセスストーリーが一気に動き出した瞬間であったと思います。
    最終的には全世界でオーダーの出来るグローバルモデルとして採用して頂けるに至りました。

    ただ、当時の感覚としては、嬉しさはもちろんありましたが、「昨年並の売上が維持できるなぁ」というくらいの部分もありました。

    結論から申し上げますと、このアジア展開が大爆発。


    (新しいデザインも投入。私の好きな文字盤の1つ「金魚蒔絵」です)

    毎月毎月、職人が捌ききれないオーダーが入り続け、少々大げさに言えばパニックに近い状況。
    嬉しい悲鳴ではもちろんありましたが、毎月毎月「いつできる」「まだ出来ないのか」と催促の嵐で、私も珍しくストレスを抱えたほどです。

    具体的には、職人が、この文字盤以外の仕事を出来なくなりました。
    毎日毎日、ひたすら文字盤を描き続け、月に制作できる枚数はせいぜい20枚程度。
    これが数年レベルで続きました。
    詳しくは知りえませんが、お客様も納期1年待ちという状況であったようです。

    販売も日本からアジア。そしてグローバル商品に昇華。
    絵柄も当初の6アイテムから随時絵柄を増やしていき、2020年現在、累計で23絵柄も採用して頂いております。


    (こちらは孔雀をモチーフに。和柄以外の展開もスタートしました)

    各地でのイベント

    爆発的な売上となり、販売促進の一環として各国のショパールが主催するイベントに私と職人さんが呼ばれることも増えました。
    現地で蒔絵の実演をみて頂いたり、体験蒔絵教室を開催したり、漆器や蒔絵の話をしたりです。


    (巨大なポスターを見て大感動でした。職人の小泉氏(左)と私です)

    台湾、タイ、香港、上海、シンガポール、マカオ。
    アジア主要都市はだいぶ制覇しました。


    (当時のシンハービール会長さまにも蒔絵の実演を見て頂きました)

    文字盤を受け持った蒔絵師(絵を描く職人)は、なんと飛行機が大嫌いでして。。
    飛行機恐怖症。
    最初に連れ出すのは、本当に大変だったことを思い出しました。
    今でも飛行機は大嫌いのようですが、海外で刺激を受けることは楽しかったようで、2回目以降は説得するのが大変という状況ではなくなりましたが。

    家の周りでほとんどが完結している職人さんですので、海外に行く度に珍道中になり、思い出話、笑い話も尽きませんが、この海外イベントは、やって頂いて本当に良かったです。

    私のGOALなき目標の一つが「漆器や蒔絵の魅力を一人でも多くの方に理解して頂く」というものがございます。
    ある意味、唯一無二の目標と言っても過言ではありません。


    (私も取材をして頂きました。私物の蒔絵ウォッチと蒔絵カフスをアピールしています。笑)

    これは、もちろん、国内にとどまらず「世界中の方々」が対象であるべき話です。

    ごく限られた招待客の方々にだけではありますが、参加された方の多くは、日本の工芸の代表とも言える「漆器」「蒔絵」に対して高い関心を持って頂けましたし、一定の感動もして頂けたと確信しています。
    終わりなき目標「一人でも多くの方に魅力を伝える」が、ほんの僅かですが、グローバルに実践出来たことも、何よりの喜びでした。


    (体験蒔絵教室の風景)

    (この方の作品は上手い!!ちょっと驚きのレベルです)

    そろそろ長くなりましたので、第2章も終わりにしたいと思います。
    是非、第1章からお読み頂けたらと思います。

    ショパールさんとのビジネスは、書きたいことが多すぎて。。
    とはいえ、永遠に書いてもですので、次の第3章で終わりにしたいと思っておりますので、もう少しお付き合い頂けましたら幸いです。

    〈第3章はこちら〉

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    ABOUTこの記事をかいた人

    漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!