GINZA SIX店がリニューアル

商業施設「GINZA SIX」(ギンザ シックス)は、規模、話題性、そして日本を代表する街「銀座」に位置することから、様々な意味で「日本屈指の商業施設」であることは異論のないところかと思います。
平安堂は、幸いにもGINZA SIXに、開業するときから店舗を構えさせて頂いており、2021年4月リニューアルをいたしました。
リニューアルというタイミングでしたので、その想いや経営判断なども踏まえ、GINZA SIXについて少し触れてみたいと思います。

大きな時代の変化


百貨店業界とも接点があり、また、流通業に身を置く者として痛切に感じたことは、GINZA SIXに対する良い悪いの印象などではなく、時代の大きな変化でした。
「三井不動産さんがCOREDO室町を作る」
「三菱地所さんが御殿場アウトレットを作る」
とは意味合いが大きく違っていると思っています。

GINZA SIXの運営母体の1つは「大丸松坂屋」さんです。
GINZA SIXはもともと松坂屋百貨店があった場所です。

百貨店を生業としている会社が、銀座の一等地に百貨店を作らず、テナント型の商業施設「GINZA SIX」を作ったわけですので、その判断は相当なものと推察します。
大きな決断であろうと思いますし、百貨店を生業としている会社が祖業である「百貨店」を否定していることになりかねない判断をした訳ですので、(流通業者として)時代の変化を痛切に感じた次第であります。

GINZA SIXを好きであるや嫌いであるやビジネスとしての成否などは置いておき、流通業界における転換ポイントとしての商業施設であろうと感じています。

大量退店の報道

深刻さを増すコロナ禍の影響もあるなかで、2020年末から2021年早々に「GINZA SIX大量退店」という形で報道がなされ、「ついに日本屈指の商業施設も・・・」という印象を持たれた方も多いのではないかと思いますし、報道もそのように受け取れるニュアンスがあったように思います。

もちろん、コロナ禍の影響は確実にあったと思いますが、大きな理由は、GINZA SIXが開業4年を迎え多くの店舗が契約更新のタイミングを迎えたという単純な理由です。
GINZA SIXの方針による新店舗入れ替えもあると思いますし、もちろん、コロナ禍により退店を泣く泣く決断した店舗さんもあるのだろうと思います。
また、状況が状況でしたので、店舗の入れ替えがスムーズに行かなかった面などもあったと思いますので、同時期に退店が重なり歯抜け状態になってしまった部分もあるかと思います。

いずれにしましても、今回のケースは、多くのテナントさんが契約満了を迎えたタイミングにコロナ禍が襲ったというものです。
通常のタイミングであれば、「GINZA SIX、さらなる飛躍に向け、大幅にテナントを入れ替え」のようにポジティブに報道されていたかもしれませんね。


上が旧店舗、下が新店舗。基本デザインは一緒です。

平安堂の移転リニューアル

2021年4月1日、平安堂GINZA SIX店は「移転リニューアル」をいたしました。
同じ商業施設の中で移転するということは少ないように思いますので、少しイレギュラーなリニューアルです。
業績がすこぶる好調で、店舗を大幅に拡大する。
あるいは、想定より広すぎて縮小する。
そういう拡張・縮小もなく、店舗面積も同じのままの移転リニューアルです。
(厳密に言うと新店舗の方が半坪くらい広いですので、僅かながら拡張リニューアルですね)

今回の移転の趣旨は「ゾーニング」によるものです。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、商業施設は、ある程度、類似した業態を集約したり、類似した顧客層に向けた店舗を集約したりしていまして、これをゾーニングと呼んでいます。
百貨店はフロアごとにゾーニングすることが多いので分かりやすいですね。
特選婦人服は3F、紳士服は7F・・・のような感じです。

GINZA SIXも、前述の通り、オープニング当初の店舗構成ではなくなってきました。
徐々に店舗が入れ替わる中で、少し大げさに書きますと、平安堂だけがポツンと、ファッション・ブランドの中に存在するようになってしまった感じです。

今回の移転により、和工芸品のSelectShopとして有名な「中川政七商店」、銅製品のブランドとして有名な「玉川堂」と並んで商いをさせて頂くことになります。
お向かいは、高感度のライフスタイルSelectShopとご紹介すれば良いのかなと思いますが「CIBONE(シボネ)」さんが入っており、一部、和の工芸品も取り扱っていることから、このZONEにGINZA SIXの工芸品が概ね集まり、お客様の利便性、回遊性が高まったということになります。


お客様の「寛ぎスペース」も基本的には一緒。上が旧店舗で下が新店舗となります。

旧店舗と新店舗

旧店舗は、エスカレーターを上がると目に飛び込んでくる場所でして、一等地と呼んで過言ではない場所でした。
新店舗は、少し奥まった場所にありまして、視認性では旧店舗の対し一歩劣ることは否めません。

経営的に見ますと「視認性の良い店舗」「回遊性や利便性の高い店舗」の二択をするということでした。

これは、正解はないように思います。
ブランド価値という観点で見れば、視認性の高い店舗の方が良いとは思いますが、実際にご購入頂くお客様の観点から見れば、徒歩30秒の場所への引っ越しですので、類似店舗が集約されている方が利便性は高いと思われますし、点で見れば大差なくとも、それが数年という線でみれば、お客様の利便性は商業施設の魅力に繋がりますので、大きなプラスになると思われます。

「見栄」も「現実」も大事なのですが、今回は「現実」を選択したという感じでしょうか。


ファサードのデザインは、旧店舗は雲を描き、日の出のイメージ。新店舗は、弊社の定番となる龍をイメージした刷毛目。

最後に

前述しました通り、徒歩30秒の場所への引っ越し、店舗面積も僅か半坪の拡張でして、内装のコンセプトも一緒ですから、弊社にとり、華々しく「リニューアル」を謳ってはおりません。
粛々とリニューアルさせて頂きました。

平安堂のビジネススタイルとしましても、派手に華々しくは似合いませんし、短期的に沢山の漆器を販売してという発想もなく、良くも悪くも、ゆっくりゆっくりと「末永くお付き合いください」というものですので。
ですので、リニューアルしましても、特段、営業方針、運営方針に変わりはなく「漆器を通じて、皆さまのライフスタイルを豊かにする、豊かに感じて頂く」ということを続けていくだけでございます。

弊社は販売員に売上目標を課したことはありませんし、目先の売り上げにとらわれ、ガツガツ売り込むことはするなと指示もしております。
漆器店というと、少しハードル高く感じてしまう方も多いと思いますが、このような経営スタイルを徹底しているつもりでございますので、のんびり漆器を見て頂き、少しでも関心を持って頂ければと思っておりますので、是非、新店舗「GINZA SIX」を宜しくお願いいたします。
もちろん、商売ですので、いつかお使い頂ければ何よりですので、いつかを期待し、お待ちしております!!

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ABOUTこの記事をかいた人

漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!