お正月のお酒|お屠蘇

お酒にまつわる話を書いていますが、漆器屋として平安堂として取り上げるべきお酒が1つございました。

お正月に頂く「お屠蘇」
「とそ」と読みます。


(屠蘇の原料、屠蘇散が入っています)

世の中的には、屠蘇器でお屠蘇を飲むという文化や習慣がだいぶ廃れてしまっているように感じますし、そのようなご家庭は少数派なのかなと感じていますが、私は漆器屋の倅として育ちましたので、新年は、屠蘇器を使い「お屠蘇」で迎えることが当たり前でした。

また、多くの方が「正月に飲む日本酒=お屠蘇」と勘違いをされています。
ここは、これからご説明をしていきますが、お屠蘇と日本酒は違いますので覚えて頂ければです。

前に、ご飯を漆器で食べるご家庭は少数派で驚いたという投稿を書かせて頂きましたが、それと同じで、屠蘇や屠蘇器も漆器屋だから当然でしたが、大人になり、世間を見回してみますと少数派ということが分かり驚いた記憶がございます。
(気になりましたら、めし椀のススメという投稿、ご覧ください)


(屠蘇を飲むための屠蘇器(とそき)。独特の趣きですので、最近は外国の方が購入されるケースも多いです)

少数派になってしまいましたが、では、「お屠蘇」を飲むことは、準備が大変であったりするのでしょうか?
弊社が取り扱っております屠蘇器まで揃えるとなると金額も少々かさみますし、ここは漆器を販売する投稿ではございませんので営業は控えておきますが、「お屠蘇」そのものは実に簡単に作れますし、お金もさしてかかりません。

  1. 屠蘇散(とそさん)
  2. 日本酒
  3. みりん

この3つを混ぜるだけです。
(屠蘇散は購入しても200円くらいですし、配ったりしているところもあると聞きます)
(適当なことを書けませんので、近くのスギ薬局で購入してきました。上記写真ご参照。150円くらいで購入できました)

この購入した屠蘇散に書かれていた作り方は
「清酒1合に対して、この屠蘇散を6〜7時間浸す。その後、みりん30〜50Ml(もしくは砂糖小さじ2〜3杯)を加える」
と書かれていました。
私も毎年飲んではいますが、作ったことはないので参考になりました。
大晦日に紅白歌合戦みながら屠蘇散を浸しておけば良いってことですね。

「屠蘇」という言葉は、邪気を払うという意味でして、1年の最初に「屠蘇」を飲み、邪気を払い、この1年の安泰を祈念する儀式的なお酒となります。
多くのご家庭では、日本酒をそのまま飲まれると聞いていますし、新年のお祝いでシャンパンやワインという選択も多そうですが、せっかくの日本の文化ですし、簡単に作れますし、縁起の良い習慣ですので、屠蘇の習慣のない方は一度お試し頂きたいところです。

屠蘇を飲む歴史は古く、完全に受け売り情報ではありますが、中国では唐の時代まで遡れるとのこと。
日本では平安時代に始まったようです。
中国ではこの文化は廃れ今ではないようですが、日本では脈々と続き、江戸時代から庶民レベルで行われるようになったようです。

屠蘇散は、数種類の薬草で出来ています。
漢方のようなものです。
ただ、漢方成分はもちろん少なく、漢方のような効能は望めないはずです。
処方箋なく購入できますし。
(ですので、屠蘇散は薬局で購入できるところ多いです)


(購入してきた屠蘇散の品質表示です。メーカーさんによって内容は若干違うかもしれません)

みりんを加えますので、味は甘口。
漢方の香りがありますので、少しクセがあると言えばありますが、みりんのおかげで飲みやすくなっていますし、薬草の香りにより、新年早々清められた感じがしますので、良い風習、残したい風習だなと思っています。
屠蘇を口にすると「凛」とした気持ちになります。
背筋を伸ばし屠蘇を口にすると、本当に良い一年のスタートを切れた気分になれますし、この気持ちは大切にしたいです。
日本人には、正月は大切な1日ですから。


(中身を開けてみると左の袋が出てきました。それを更に開けると右の屠蘇散の入ったティーバッグ。このティーバッグを清酒に漬け込みます)

細かいことを書きますと、盃に注ぎ、年少者から飲みます。
年少者の英気を年長者が貰うという意味合いがあると聞いています。

一般的な屠蘇器には大・中・小と3つの盃で構成されていますので、正しくは、小さい器で一口、中サイズで一口、大きいサイズで一口と飲みすすめるようです。


(大・中・小の盃を重ねたものが正式。お持ちでなければぐい呑でも良いと思います)

私はそこまで正式にやっていませんが。。
私は、適当なサイズの盃をとり、新年の挨拶を家族にし本年の抱負を述べ、3口で飲み干す。
こんな感じです。
儀式を儀式としてしっかりやるもよし、少し気楽に楽しむもよしです。

「お酒になにかを混ぜる=カクテル」と定義するのであれば、最古のカクテルの1つかもしれませんね。
日本が誇る最古のカクテルで新年を祝う!
ぜひお試しを!

《最後に》
営業はしませんとは書いたものの、漆器屋ですので、正式な屠蘇器で飲んで頂けたら幸せですし、屠蘇器という文化を残す努力もしなければいけません。
屠蘇や屠蘇器に興味を持たれましたら、一度、弊社のHPをご覧ください。
一番手軽な屠蘇器はこちら。

屠蘇器 輪つなぎ
投稿中にご紹介した屠蘇器は弊社のシンボリックな屠蘇器でお値段は高額です。

(弊社のシンボリックな屠蘇器 仁清梅蒔絵

弊社の通販サイト「平安堂Web本店」はこちらです。

Heiando Bar ( He&Bar )
漆器山田平安堂が運営する六本木のオーセンティックBAR
港区六本木4-10-5-2F
六本木交差点より徒歩1分
03-6804-6388
お客様単価目安:2,500円〜3,500円くらい(2杯飲んで)
営業時間などの詳細はこちらをご覧ください。

=過去の投稿=
0|プロローグ
1|漆器がイメージ、サントリー・オールド
2|感動のブルドッグ
3|黄金レシピ、ホワイト・レディ
4|試飲会Buss509
5|ゴディバのチョコレート
6|オリジナルカクテル「Good Dream」
7|クリスマスに「BIG PEAT」
8|He&BarのシャンパンはMUMM

ABOUTこの記事をかいた人

漆器 山田平安堂とHeiando Barの代表取締役。 昔はお酒が飲めなかったのに、今ではお酒マニア。 漆器とお酒の魅力を伝えます!