漆の木の樹液の活用は、石器時代まで遡り、当時は接着剤として使用されていたということです。「漆」の漢字も、分解しますと「水が滴る木」という意味となり、樹木を表現する漢字で恐らく唯一「サンズイ」を使っており、いかに古くから、その樹液が重宝されていたかを窺い知ることが出来ます。
漆の木はアジア全般に生育しておりますので、アジア地域で防腐・防水塗料として広く使用されてきました。その独特の質感に美意識を見出し、工芸として確立したのが日本です。「侘び寂び」の精神と一致したものと言われており、漆器をJAPAN(磁器はCHINA)と表現する程に、世界的な評価を得るに至りました。
防腐・防水塗料として用いられる漆の歴史は、接着剤としての用途から始まりました(現在も漆器の製作においては、漆を接着剤として使用しております)。
日本を代表する工芸品としての漆器に留まらず、長い歴史の中で漆は様々な役割を私達の生活に提供してくれた特殊な樹液と言えます。
現在も潤いや温もりを提供してくれる塗料として改めて漆の魅力が見直されており、今後も私達の生活をより豊かにする役割を果たし続けてくれることと存じます。
平安堂では先人達から受け継いできた伝統と技術を守りつつ、現代のライフスタイルに合う使いやすい漆器や、オリジナリティに富んだ新しい漆器の提案を心がけております。
また、食器としてだけではなく、ステーショナリー・インテリア・服飾品など、みなさまが漆器をより身近に感じていただけるような漆製品をご紹介してまいります。
贈り物にもご自宅用にも“思わず語ってしまいたくなるような器”をお楽しみ頂けましたら幸いに思います。